ピュンピュン丸

みちていくのピュンピュン丸のレビュー・感想・評価

みちていく(2014年製作の映画)
4.8
自分はかつてこれほどまでに女子高生の日常と心理を見事に切り取ってみせた映画を知らない。素晴らしいと思う。

恋人に噛んでもらうしか精神的に充足できない女子高生みちる(飛田桃子)っていう設定で、下品な低脳レベルの映画かと思い込んでいたが、それこそ、こっちの頭の悪さを見透かされたようで恥ずかしくなる。

この映画には、いくつかの女子高生の典型が描かれていると同時に、この年頃の女の子たちがもっている普遍的な魂のうねりのようなものが描かれている。

陸上部部長の新田舞の内面の変化を山田由梨が上手に演じている。

みちると新田の二人が立ち寄る小川のせせらぎが何かを象徴しているようで印象的。

教師の言う「前」と自分にとっての「前」が違う子がいて、町中にシールを貼っていく。好きだな。

「先生は、宇宙を認識できるのは人間だけと言いながら、人間のもつ悩みは宇宙からみたらちっぽけなもんだという。おかしくないか?」というリストカットを繰り返す子。わかるよ。大人たちのほうが、君たちよりよっぽど頭悪い。

女子高生たちが活躍するウケ狙いの商業映画とは一線をかくす、派手な味付けのない、素材の良さだけで勝負したような映画だ。

女性監督ならではの感性なのかな。
竹内里紗第一回監督作品とか。
他の作品が気になるところ。