ゾンダーコマンド
同胞のユダヤ人の死体処理を行う特殊部隊
証拠隠滅のためいずれ彼らも同じように処分される
ぼんやりと遠目に見えるその光景は、見えるけど見えていない。それは作られた映画なんだと頭では分かっていても、たぶん正視できないからだろう。
ずっと内臓を鷲掴みにされているような感覚
カメラがずっとサウルに寄り添うもんだから、サウルと一緒になってアウシュヴィッツ強制収容所をさ迷う二日間
そこには地獄しか映ってなかった
自分たちの首を自分たちの手で絞めされられているという無限地獄
ヒリヒリする
ずっと
なぜ。どうしてそこまでこだわるのか。こんなに間近で観ているのにもかかわらず、サウルの真意がぜんぜん分からない。運命のさじ加減ひとつで失われる命の綱渡りの中で、まるで、とり憑かれたように諦めない。人間らしく弔うこと。そんなのできるわけがないのに…
この地獄の光景を後世に遺すことが彼の唯一の救いなんじゃないかと思えた時、ふと、微笑みの理由がわかったような気がした。