misuzu

ロブスターのmisuzuのネタバレレビュー・内容・結末

ロブスター(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ざっくり言えば「不思議な映画」だけど、この映画を形容するぴったりな言葉が見つからない。

45日以内にパートナーを見つけられないシングルは動物に変えられてしまうという、そのとてつもなく不条理な社会のルールに誰一人疑問を持つことなく人々はそれを受け入れ、粛々と従っている。
森で暮らす独身者たちも社会に対して叛乱を起こすわけではなく、レア・セドゥ演じる独身者たちのリーダーも自分の両親の前ではパートナーがいるように振舞っている。
しかし、彼らがホテルの支配人夫婦や、パートナーを見つけるべくそこに滞在している人々に起こす小さな襲撃は大きな破滅を予感させる。
自分の命が惜しく脅されるまま、ホテルの支配人である妻を銃で撃とうとした夫。
鼻血が出やすいという共通項が嘘だと知った、鼻血が出やすい女と足が悪い男のカップル。
物語の中では語られない彼らのその後に、悲劇的なものを感じてしまう(鼻血の出やすい女の手にはナイフが握られているのだ…)。
そして、本物の愛情で結ばれたはずのデヴィッドと近視の女にも、悲しいかな、明るい未来は感じられない。

知ることのできない彼らの未来を、私たちはいつまでも語っていたくなる。
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