シュールと言う単語がこれ程似合う作品はないのではないだろうか。
まず着眼点と言うか発想が面白い!
”独裁者”の強制収容所はかつてあったが、
”独身者”の強制収容所があったとは。
45日以内にパートナーを見つけられなければ動物に変えられてしまう…この発想もぶっ飛んでる。
動物になりたくなければ、相手を見つけるか、森に逃げ込んだ独身者を捕獲して生き長らえるか、どっちかだなんて無茶で酷。
ルールに管理された収容所内では否応なしに恋する事を強制される。
一人遊びは禁止。
パートナーがいるとこんなにいいんだよとレクチャーするシーンでは思わず吹き出した。
一方、逃げ込んだ独身者が群れを成す森では恋もセックスも接触も禁止。
”一人”である事を位置付けられる。
相反する設定で見えてくるのは人間の単純さでもあり複雑さでもある。
終始感情の起伏なく続く中で、絶妙な音楽と共に映し出される人間のシュールさ。
やれと言われて出来る程単純ではなく、一方でやるなと言われればやりたくなる単純さ。
やるなと言われた時に限ってターゲットが現れる、人生の”あるある”がこんな独創的なタッチで描かれるとは。
ルールで幾ら人を管理しようとも心の動きまでを管理する事は出来ない。
もしそれが出来るのなら世の中に不倫は起きない話になる。
人を好きになる感情は本来自由な物であり予測不能な物。
そんな思いを再認識させられ、最後に管理でもルールでもない自発的な愛の形を見せてくれた。
衝撃と共に愛の意味を深く心に刻ませながら。
今年に入って”こんなの初めて”と思う作品に出会う。この作品もその一つだ。
独創的で唯一無二。が、内包されるモノは普遍的なテーマであり、それだけに深く面白い。
オススメの作品です。
#ロブスター