いたたまれな面白い。
ストーリーの軸というのか、物語全体の輪郭をつかむ手がかりが何もなく、
突飛な設定も相まって無重力な、夢みてるみたいな映画。
寝ぼけ頭で他人の夢の話聞いて二度寝した気分。
シュールなブラック・コメディで
ウェス・アンダーソンな瞬間もあるかと思えば、
キューブリックのシャイニングな瞬間も見え隠れ。
おっかないのと、面白いのが交互にやってくる。
夫婦の嘘を暴き立てるのと、孤独の独善を垣間見る中盤以降が面白かった。
コリン・ファレルが見事に中年体型に変化しててビックリしたのと、ベン・ウィショーの卑近なモテたい青年ぶりが愉快。
股間にお尻をグリグリしてくれるメイドさんとか、
好きな女に合わせる為に偽悪を振る舞うコリン・ファレルのナイスキックとか爆笑ポイントも多いし、
レア・セドゥの不機嫌ツラ美人ぷりも健在で安心です。
終盤の春琴抄展開は怖くて思わず目を背けてしまいました。
舞台でも映画でも春琴抄のあのシーンは絶対見てられないんだよなあ。
