このレビューはネタバレを含みます
独身禁止の近未来を描いたディストピアSF。パートナーを作らなければ動物に変えられてしまう世の中になんて、絶対なってほしくないなと吐きそうになりながら観た。
前半は恋愛というシステムへの懐疑的な眼差し、後半からは「愛」だけですべてを乗り越えることができるのかという、これまた愛に対する懐疑的な眼差しがあったと思う。
程度にもよるだろうが他人との関係性においては多少の偽りが必要なのはわかる。けれど、動物に変えられたくない一心で意味不明な共通点を無理やり作り出すところなどは観ていて滑稽だった。しかしあれってあるあるだよなとも思い、なんだかどんよりもした。
後半はさらにえぐい。
互いにどれだけ情熱的に愛し合ったとしても、うまくいくとは限らない。愛のために己のすべては捨てられない、ということだと受け取った。
目をつぶす、という行為だけで春琴抄を思い浮かべてしまったが、本作は春琴抄にはなれなかった話だと思う。