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人生タクシーのodyssのレビュー・感想・評価

人生タクシー(2015年製作の映画)
3.0
【ドキュメンタリーか、ヤラセか】

イラン映画。この映画の監督自身が主人公である。

表現の自由が先進国ほど認められていないイラン。監督もその筋から映画監督禁止令を食らっている。そこで監督はテヘラン市内を走るタクシー運転手となり、車内に据え付けたカメラで乗客の人生模様を撮影する・・・。

本作品はそういう手段で撮影された映像を編集して出来上がっている。ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞したとか。
西側の映画人からすれば監督の反骨精神はすばらしいということになるわけで(ただ、そういう「自分の価値観は絶対」という欧米人の単純さにはときどき辟易する私なのだけれども)、私も共感しないでもないけれど、実際に偶然からタクシーに乗り込んできて撮影した部分がどの程度あるのか、よく分からなかった。

つまり、ヤラセじゃないかという疑いもありそうだと思うんだけど、どうなのかね。

監督の姪を学校に迎えに行く場面もあり、早熟らしい姪が映画について述べる部分は面白いのだけれど、逆に言うと意図的な編集じゃないかという気もする。他にも偶然(なのかな?)、監督とつながりを持つインテリ女性が乗り込んできて、イランの現況を伝えてくれる。

どこまでがドキュメンタリーでどこまでが意図的な作りなのか、その辺がよく分からない映画。
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