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母の残像のrosechocolatのレビュー・感想・評価

母の残像(2015年製作の映画)
4.0
ラース・フォン・トリアーの甥御さんの、ヨアキム・トリアー監督作品。

叔父さんほどおどろおどろしくなくシンプルな仕上がり。このくらいの濃さならすんなり観れるのでは?

この映画の核はたぶんコンラッドなんでしょうね。後半は彼の内面の葛藤や変化が中心でしたし。ハイスクールが出てくる映画によくありがちな、weird故のいじめという展開でもなかったのはいい。

コンラッドが綴る文章と、好きになる女の子(名前忘れた)が朗読する文章と、そこから繰り広げられる映像の精巧さがいい。全体に落ち着きをもたらしていること、そして映像も丁寧に作られていることがポイント。

母の不在を、生前と逝去後と双方から描いているが、混乱せずまとめられている。
愛していたはずの母の真実、生き残った父と兄の真実、そして自分の現実と、何をおいても直面する事情に翻弄されながらも、ある時は子どもにかえりながら、またある時は成長を余儀なくされるコンラッド。青年の成長物語としての完成度は高い。

ところで、事故の真相ってはっきりわからないのが正解?そういう風に持って行ったのかもね。いい作品でした。
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