あきしげ

エベレスト3Dのあきしげのレビュー・感想・評価

エベレスト3D(2015年製作の映画)
2.5
お粗末な商業登山の末路。

良かった点。

・エベレストは人智を越えた山
・豪華な出演者たちによる共演

悪かった点。

・登頂のスリル感がまるでない
・主要人物以外は自己紹介のみ
・エベレストという感じがない
・商業登山に感動がありません

1996年に起きたエベレスト大量遭難事故。
このテーマは三作目の実写映画化となります。
3Dとなっているが、2Dで鑑賞しています。

約120分のうち、半分で登場人物の紹介。
それも主要人物たちの目的と素性だけ紹介。
その為に感情移入がまったくできない作品。
いわゆる伝記映画の系統に入っている作品。
娯楽作というよりドキュメンタリーに近い。
そのおかげで全体的に淡々とした展開です。

まず、エベレストだという感じがない。
登場人物たちが言葉にして納得させる。
本来なら映像で魅せるべきところです。
それをやっていない時点で説得力皆無。
単なる険しい雪山を登頂しているだけ。
そう言われても納得してしまうレベル。

こういう作品にはスリル感が必要不可欠。
ちょっとした不注意で命を落とす危険性。
それがエベレスト級だと格段に違うはず。
それなのにそのような描写がありません。
結局は嵐のせいでみんな遭難してしまう。
これってエベレストである意味が皆無だ。

登場人物がそもそも多すぎるのも問題。
どうせ全員描けないなら絞るべきです。
ロブの視点よりベック視点の方がいい。
そっちの方がまだドラマが描けるから。

そして、大前提となる商業登山。
ツアーの為に素人を登頂させる。

本来なら登山技術がないと登れない危険な山。
しかし、近年は素人でもある程度登頂が可能。
顧客がアマチュアだから足を引っ張っている。
そうなるとトラブルがあると対応ができない。
だから大量遭難事故が起きたと言えるだろう。

遭難で次々とメンバーが死んでも悲しみはない。
登場人物に共感しないから観ている側は無感情。
結局はツアーの一部で自己責任で登頂している。
その危険を承知で登っているから本望でしょう。
そこに同情の悲しみを誘う演出がクソすぎます。

冒険家やプロの登山家に許された山。
それが伝わらない時点でダメだろう。

つまり、商業登山はクソという作品でした。
あきしげ

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