このレビューはネタバレを含みます
戦争映画とは言っても、残酷な戦争シーンは少なく、戦時中の日常がひたすら描かれている。それも、悲しい出来事ばかりではなく、悲しい出来事を経験しながらも幸せに生きる、生きようとする人々が描かれている。戦争に関する映画といえば海外の迫力を持って残酷なシーンが多く描かれる映画ばかりを思い浮かべていたが、この作品は新しい切り口で戦争を描いていて、とても印象に残る映画だった。
原爆に遭った男が歩き着いた呉で絶命し、それが息子だと気付かなかった、と話すおばさんがさらっと出てきたり、ラストの方で母親と共に原爆の被害に遭い、母親を亡くしてしまった少女がひょいと出てきたり、淡々と戦争の残酷さが表現されていたのが印象的。大袈裟でないというか、等身大というか、表現が難しいがすっと心に入ってきてずっしりと残る不思議なメッセージ性があるように感じた。
2023 94