aihona

この世界の片隅にのaihonaのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
5.0
岡田斗司夫さんのレビューを聞いてから鑑賞。
誰かのレビューを聞いてからみてしまうと、良くも悪くも頭の片隅でその評価について考えながら見てしまう。
・アニメーション描写が本当に細かくリアリティを追求している
・のんの声は然ることながら、アニメーションが更にその演技に合わせて制作されているから余計に作品のクオリティが高くなっている
・泣いてはいけない
3つ。岡田斗司夫さんが言ってて
アニメーションについては、お箸の持ち方の細かさなんかは素人目には絶対に目を向けなかっただろうから、ここは聞いておいてよかった。
前知識なしにみていたら、ただ戦争×日常×芸術の掛け合わせに「すごーい」ということしか私には言えなかっただろう。
のんの声について。
偏見で、のんをなんとなく嫌っていた節があるので、これは他の人のレビューを見ても分かる通りではあるが、見てよかった。
のん、ぼやぼやした頑固な人何やと思ってたけれど、広島外の人から聞いたら違和感なく広島弁で演技をしていて、本当に物語に溶け込んでいた。
溶け込んでいたというより、全てがのんのナレーションで進むお話なので、この話を作るに欠かせない声とも取れた。
心地よく、「すずさん」に親近感を覚えてしまう。本当に傑作。
「泣いてはいけない」について
全てを理解していない世代が安易に泣いてわかった気になるなということかと思っていたけれどどうやらそうではなく、人間は泣いたら最後、もう理性で物事を捉えられず、いい話として解釈してしまうからだそう。
そうは聞いても、どうしても涙が溢れてきてしまった。そんな自分に少し嫌気が差したりした。
現代に生きて不自由もそんなになく暮らし、この時代を「あの頃」と言えてしまう。
当事者ではないからそれはもう仕方なくもあり、でも知ろうとし、勉強し、よく言われることではあるけれのやっぱりこの先も全人類責任を持って語り継いでいくしかない、と思わされる。
他の人の感想も色々が混ざった結果にはなるけれど
決してハッピーエンドでもなくバッドエンドにも終わらせていないこの映画を「ああ何度でも観たい」と思えるのは、
この映画の主人公が世界の主人公なのではなくて、あの時代の1人「だったかもしれない」、あんな人生が「あったかもしれない」、更にお義姉さん、海兵の友達、妹、最後にうちに来た女の子、はるみちゃん、お義母さんやお義父さん、、といい出したらキリのない、広島、否、日本中の人々の日常があらゆる形でその人の人生だったんだな、リアルかもな、と思わせられるような映画だったから。だと感じた。
本当に切ないし絶対に100%あんな戦争がなかったらもっといい世界だったかも知れないのにと思うし、誰の人生も切り取ったら1つの映画になるよなって、最近追い求めてる?テーマを改めて感じられました。ありがとうございます。
aihona

aihona