ゆゆ

この世界の片隅にのゆゆのネタバレレビュー・内容・結末

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

Twitterでとあるアカウントさんのおすすめポイントをまとめた漫画をみて、必ず観に行くと決意しました。

急遽時間がとれて観に行けたのですがまさかの立ち見!でも全く構いません。この作品に今この瞬間出会えたことが本当にしあわせです。

わずか2カ月でクラウドファンディング目標金額2000万円を到達し、原作者と監督の運命的な出会いと探究心と拘りのかたまり……なにより製作に関わった全ての方の魂と心の宿った素晴らしい作品でした。

全体の絵が温かみのある素朴なタッチで、戦時中であるはずが和やかな気持ちで物語が進みます。何よりも「すずさん」の人生、生き方、生き抜き方というのがメインですが、すずさんに関わる全ての方との関係性、共鳴によって生まれた人生のように思います。

すずさんと関わっていく人々や家、町、国との"糸"のようなものが、時に切れ、時に強固になり、時に細くなり、時に見えなくなって、でも確実に繋がっているような感覚。
決して依存ではなく、それぞれの登場人物がそれぞれの人生を精一杯懸命に生き抜いている様子がかっこよく、キラキラして見えました。

それが特にわかるのが、玉音放送以降に思います。
「日本が勝つ為ならば」と、どんなに貧しかろうが耐え忍んできた努力が全て無に帰した瞬間のショッキングさ。
径子さんすずさんの涙に震えました。

空襲警報、時限爆弾、原爆……音のリアリティさに鳥肌。私は戦争経験者ではありませんが、なぜかとても恐ろしく感じました。呆然と空を見上げる女性陣と、周作さんやお父さんの危機回避能力の速さもひどく現実味を帯びていたように思います。

やはり注目すべきはすずさんのキャラクター設定。ぽやーっとしている、絵を描くのが好き、生きる強さ…そういったものがうまく影響し合って、和ませるシーン、胸を掴まれるようなシーン、笑えるシーン、ショッキングなシーン…どんなシーンにもすずさんがひたすら生きていました。

感想は本当にキリがないように思いますが、ぜひもう一度劇場に足を運びたいです。が、少し足が重い…笑

とにかく絶対に劇場で観てほしいと思います。あの時代を体感していただきたい。
劇中歌も素敵でした。サントラほしい…とりあえずパンフレットだけでも確保しましたが、絵コンテ集もほしかったです…!

そして最後にひとつだけ俗なことをいわせていただきたいです。ほそやん最高。以上です。
ゆゆ

ゆゆ