けんぼー

この世界の片隅にのけんぼーのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.6
「感動=泣くこと」ではない。
間違いなく、本年度No1作品。
正直何を書いていいかわからないです。いい意味で。
とにかく感動しました。感動とは「感情が動く」と書きますが、この映画を見た後は自分の心の中がぐちゃぐちゃになります。

「シン・ゴジラ」を見て、何かすごい作品と出会ってしまったと思ったのもつかの間、「君の名は。」で日本中がさらなる衝撃を受け、今年は名作が多くて良い年だったなあと昨日まで思っていましたが、まだまだ甘かったです。11月に入ってまだ来るかと。来てしまったかと。

「君の名は。」は確かに多くの方が感動できる作品です。というより、見ている人の感情の持っていき方がとても分かりやすい作品だったと今わかりました。「泣く」という感情の落とし所に、気持ちよく導いてくれる。だからこそ老若男女どの世代にも受け入れやすいのだと。

「この世界の片隅に」も泣こうと思えば泣ける作品です。第二次大戦時の広島が舞台ですし、主人公の健気さ、必死に生きていこうとする姿など、泣けるポイントはあります。でも、自分の感情を「泣く」という落とし所に簡単に持っていけない。持っていっちゃいけない気がする。
見終わった後、多くの人が茫然としていました。何か大きな、とてつもないものを突き付けられたような感じがしたのは僕だけではないと思います。
今思い出しても、胸に「ぐわっ」ときます。

監督が何度も現地広島へ通い、徹底的に調査した街並み。
丁寧で細かい登場人物の動き。
俳優「のん」の演技力。
クラウドファンディングに協力した多くの人の思い。
広島の方々の思い。
それらが合わさってできた、傑作です。

他の方のレビューにもありますが、とにかく見てください。DVDや地上波ではダメです。映画館でぜひ見てください。上映している映画館が少ないのですが、ちょっと遠出してでも見に行く価値はあります。
とにかく、見てください。