海老川

この世界の片隅にの海老川のレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.3
見て良かったです。
何度も涙腺にチクチクとジワジワと。
何が来るかって、徹底して微細な幸せそうな日常描写。戦時中の話にそれは卑怯よ。
能年玲奈がすげえなあ。なんでござんしょあの切なくて暖かみのある声は。演技は。天才としか言えない。この役するためにあの声を持って生まれてきただろ。

しかしながら当然、和むと同時に戦時中という背景が澱んで迫って来る。
「よかった」のシーンはもう筆舌に尽くしがたい。

ただ幸せな描写は単に悲劇の前菜で終わらない。そこが評価を押し上げるポイントなのでは。
終盤のあのシーン、あれ?逆だったの?ってほんの一瞬だけ考えてしまう。悲劇的な世界をそのまま最悪の悲劇で終わらせる妄想がチラつく。その上でそれを今後の希望の誕生として描くエンド。完璧だと思います。

これでやっとシン・聲の片隅の名は。コンプリートです。
海老川

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