ShojiIkura

この世界の片隅にのShojiIkuraのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.8
 アマプラで久しぶりに鑑賞してまた感動が蘇り、どんなレビューしたっけ、と見返してみたらなんと鑑賞記録のみ。皆さん周知の名作で今さら、ですがあらためてレビューしたい。

 この映画との出会いは全く偶然だった。中高生の息子たちとイオンシネマに行ったが息子たちの観たい映画(確かミュージアム)を観たくなかったので、同じ時間に上映されていてタイトルに惹かれたこの映画を選んだ。本当にたまたまだった。(全国の上映館がまだ70館ぐらいの時でよくぞイオンシネマ浦和美園やってくれた!)

 最初、導入のふわっとした雰囲気もあってリラックスして鑑賞していたのに、どんどん前のめりになり、「なんじゃこりゃ…」と思わず呟き、上映が終わるとボーッとしてしまっていた。気がつくとまわりもそうなのか、しばらく席を立てない人多数。この体験を再び味わいたいと、そこそこ好きだった映画に、よりのめり込むきっかけとなったほど。これは観るべき映画と思い、数日後に家族全員で鑑賞した。

 観賞後に原作コミックを読んだが、それも素晴らしかった。そしてその原作の魅力を余すところなく伝えつつ、動き、音楽も含めた音、のんさんを含めた声優たちのキャラクター、枠にまとめた構成などで、立体感を増し、黙っていても心に染み込む映画となっていた。

 僕はエンドロールが流れると席を立ってしまう派なんだが、この作品は(余韻があって席を立てなかったのだが)クラウドファンディングに参加した多くの人の名が出てきたり、静止画で祖母宅の屋根裏に居た子がりんさんだったタネ明かしがあったりと、全く無駄がない。

 思えばこの映画は、オープニングのコトリンゴさんの「かな~しくーてー、かなしくて、」が全てを物語っていたと思う。悲しいと歌いながらどこかフワフワと漂う心、玉音放送に激怒し号泣した翌日も日常生活を普通に過ごす。生きていくとは、戦争だろうがなかろうが、そういうことなのだ。

 今後も時々鑑賞して「しみじみ」感動したい。
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