ゆみモン

湯を沸かすほどの熱い愛のゆみモンのネタバレレビュー・内容・結末

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

こういう、余命宣告された登場人物が最期の時までにやっておきたいことをやる、というストーリーは有りがちだが…これは良かった。

こんな病状でドライブ旅行が出来るのか?というツッコミはおいておくとして…感動的な作品だった。
宮沢りえの華奢な容姿と裏腹な肝っ玉母さん・双葉がいい。痩せていって本当に死にそうな姿に心配になった。
双葉は実は自分の実の子は産んでいなくて、安澄も夫の前妻の子。しかも、聾者の前妻が安澄を置いていっても、いつか会う日の貯めに安澄に手話を学ばせていたり…と凄い人だ。

安澄・杉咲花の体当たりの熱演もいい。
鮎子役の子役も泣かせてくれる。
オダギリジョーは、こういう愛すべきダメ男をやらせたら最高だ。
私立探偵の存在もいい。
たった5年前の松坂桃李が、若くて可愛い。彼の存在は要るかな?という気もしたが、ラストまで観るとやっぱり必要な役だと思った。

いじめに立ち向かって闘って、制服を着て学校から帰って来た安澄を、双葉が抱きしめるシーン。
実の母が迎えに来ると信じて、以前住んでいたアパートの前にうずくまっていた鮎子を迎えに行ったシーン。
安澄の実の母と無理やりでも対面させようとするシーン。
病院の庭でみんなで作った人間ピラミッドを見て、双葉が「死にたくない。生きたい。」と泣くシーン。……etc.
久しぶりに、一つの映画の中で何箇所も泣いてしまった。

ラスト、双葉の遺体を銭湯の竈で焼いたという意味のシーン。法的にはまずいだろうが「湯を沸かすほどの熱い愛」だから良いとする。