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湯を沸かすほどの熱い愛のmitoのネタバレレビュー・内容・結末

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

前評判が異常に良くって気になっていた作品。
予告編こそ、最近話題で今、最も自分の中で嫌いな言葉「感動ポルノ」のような作品と思わせる内容ながら、試写会を観てきた人の感想を見てみると皆が揃って「そうではなかった!」と言っていて、一体どういう話なんだ…、と不思議に思いつつ鑑賞。

夫が蒸発、子供はいじめを受けるなど、家族の問題が山積みの宮野家。
主人公である母、双葉はそんな家族を大黒柱として支えているのだが、ステージ4の末期がんを宣告される。
余命2-3ヶ月を言い渡された彼女は、宣告直後は落ち込むものの、そこから家族の再生に向かって歩み出す。

なるほど。
感動路線ではあるものの、登場人物を微妙に突っぱねるような設定をエッセンスにする事で寸での所で感動もの一辺倒になる事を回避している。
しかも逆にそれが更なる感動に一役買っているというのは面白い。
前半の何の気なしの展開が結構な数後半の伏線になっており、驚かされる点も面白い。
そして最後のあれも、急にギョッとさせると同時に、何故か正しい行いに見えてしまうのが面白い。

その点では非常に上手い作品だとは感じたが、
捻くれ者の自分にはどうしても双葉の真っ直ぐな考え方を受け入れられない。
特に娘の安澄に関する2つの行動については正しいんだろうけど、
1つ目に関してはあそこで逃げるという事は決して悪い選択肢ではないと言うのが持論であり、それを打開する安澄の行動は実際では更なるいじめの材料を提供しているように見えてしまったし、
2つ目は事実を伝える事は間違っていないと思うんだが、その後、彼女が受け入れるか、拒絶するかは選択させるべきでは…と、どちらも自分の中では、かなりモヤモヤ感が強かった。

死ぬ前にどうしても、こうしたい、ああしたい、というのは分かるのだが、その感情が個人的には強引過ぎる点が多かったかなと感じて、所々乗れなかった。
まあ、話の中では結果として、それで良かったという結論になるので、何とも言えんが…。
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