鮭

湯を沸かすほどの熱い愛の鮭のレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
4.3
いや〜凄い凄いと、噂には聞いていましたが。
比較的序盤からラストまで、いろんな種類の涙が次々に。観終わったあとは泣き疲れて呆然とするほどでした。

テーマは本当に普遍的なものです。死にゆく病気の母と残される家族たちの物語。
これだけ聞くと、ある程度こういうものだろうと自然と予想してしまうものですが、中野量太監督という新たな才能がその普遍的なテーマをあらゆる角度から切り取ろうとしてきます。

そして子役から大人まで、役者陣の熱演が心に沁みる。
誰よりなにより宮沢りえ。
正直彼女の肝っ玉母ちゃんなんて痛い感じになってしまうのではと思っていましたが、完全にその予想は覆る。
病気で死にゆく母を、綺麗事なく強く儚く弱く逞しくかっこよく生き抜いた様は圧巻でした。

作品の最後、タイトルの意味を噛み締めてまた涙する。
今思えば予告編からちゃんと物語は始まっていたんだなぁと。

きっと自主制作上がりであろう勢いと、でもそれがちぐはぐにならない大きな愛情が伝わる良作でした。
監督の次回作への期待も高まります。
鮭