Yuuka

顔のないヒトラーたちのYuukaのネタバレレビュー・内容・結末

顔のないヒトラーたち(2014年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

ホロコーストに関わったナチス親衛隊をドイツ人自身で裁いたフランクフルト裁判に至るまでの物語を描いた作品。

正義感溢れる若い検事がホロコーストを知り、戦後の裁判で裁かれなかった者たちを裁くべく奔走するんだけど、ホロコーストの被害者の話を聞き、アウシュヴィッツで起こった事を知ってナチス党員に対しての憎悪を募らせていく中でどんどん顔色が悪くなり人相も悪くなって闇堕ちしていく様子を見ていてハラハラした。

過去の間違いは見たくない。
臭いものには蓋をしたい。
ナチスが今だにドイツにとってトラウマになるほどの間違いであったからこそ、戦後にニュルンベルク裁判で国連軍によって戦争犯罪が裁かれたドイツでは「もう罪は償った」と戦中を生きた国民がそう思いたい気持ちも理解できると思った。
ホロコーストものを観て感じるのは「いや、これむずかしいよな〜」という事。
ナチスがやった事は疑いようもない悪行だし正当性は一つもない。じゃあ自分がもし軍の中にいる人間だったら?と考えると、逆らう事はできないかもしれないなとも思ってしまう。自分の潔白性を強く信じていた主人公も、物語の中でこの問題にぶつかる。絶対的な正義の象徴だった彼の父親も戦時中はナチ党員であったことを知り、アイデンティティが揺らぎ、大きな力に飲み込まれる可能性を考えた。
そして苦しみながらも主人公は自分の正義を取り戻していく。

事実、起訴された親衛隊たちが誰も悔恨の念を口にする事はなかったことというのは非常に胸糞悪く腹立たしい。それと同時にナチスの洗脳の深さや「やってもいい」という空気に流される事の恐ろしさを感じた。
Yuuka

Yuuka