Yuuka

オオカミの家のYuukaのネタバレレビュー・内容・結末

オオカミの家(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

禍々しい、悪夢みたいな映画。

チリに実在したコロニア・ディグニダがモチーフになっていて、この映画はその団体がプロパガンダとして作成した動画っていうモチーフらしい。
「オオカミ」はコロニアの支配者を表しており、作中何度も「マリーア」と優しげに呼びかける声が洗脳者のそれで非常に不気味。

命令ばかりで嫌だとコロニーを飛び出したマリアなのに、子豚たちには「わたしの言うことを聞いたら幸せになれる」と言い従わせようとしている。守ってあげたかったのに従わなかったというモチーフが何度も出てきて、チリの歴史を知らないで見てたら支配的な親と子供の関係を暗喩しているようにも感じられた。

マリアが被害者から途中で加害者の側に簡単に回るのが印象的であり、洗脳されている人間は庇護するべき(していると本人は思っている)対象に対して自分がされたことと同じ事をするというのが恐ろしい。
そしてプロパガンダという設定に相応しく、最後はマリア自らコロニーに帰りたいと願い、戻った彼女は充実した生活を送りました、めでたしめでたし。となっているのがまた恐ろしい。

アニメーションとしての画面は非常にアーティスティックであり、アートに触れるのが好きな自分にはすごく心満たされる作品だった。
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