ハレルヤ

顔のないヒトラーたちのハレルヤのレビュー・感想・評価

顔のないヒトラーたち(2014年製作の映画)
3.8
1958年の西ドイツ。戦後10年以上が経過している中 、若手検事のヨハンはかつてアウシュビッツ強制収容所にいたナチスの親衛隊員が教員をしている事を突き止める。彼を戦争犯罪人として裁くためにヨハンは様々な壁にぶつかりながら尽力する実話ドラマ。

ドイツが自国の闇に触れた作品。ナチス・ドイツの一員として残虐非道な行為を行ったにも関わらず、一般人に紛れて平和に暮らしている。そういった事が許せず、高い壁に立ち向かった若き検事のヨハンを中心に描いていきます。

当時で終戦から10年以上が経過。人々の関心も薄れていく中で、証人を捜したり、証拠となる膨大な資料を読み解いたり、懸命に調査を繰り広げます。中でも証人探しでかつて幼い双子の娘2人を収容所で人体実験に使われた父親の話はこの世の出来事とは思えないくらい酷いものでした。自分が同じ立場ならとても生きていられないくらいのもの。

そんな聞いているだけで気分が滅入りそうな話を掘り下げて真実へと迫るヨハン。自国とか国民とかそういう事とは関係無く、戦争が招いた負の歴史との向き合い。そこに焦点を当てて立ち向かう事の大切さを表していると思います。

単調にはならず、ややエンタメ寄りの作風も見やすさを強調していたと思いますし、かと言って軽いわけではない。骨太な一作だと感じています。
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