FukiIkeda

顔のないヒトラーたちのFukiIkedaのレビュー・感想・評価

顔のないヒトラーたち(2014年製作の映画)
3.9
悪の凡庸さを許さなかった人。
終戦から20年のドイツ。
アウシュヴィッツと言えばホロコーストと、今では誰でも知っていることだが、その頃のドイツでは誰もが口を閉ざし、耳を塞ぎ、全てはヒトラー及び、ニュルンベルク裁判で裁かれた戦犯達の犯した罪として、戦争の傷跡を忘れようとしていたんですね。
これってどこの国でもそうだと思うんだけど、ドイツのある若き1人の検事はそれを許さなかった。彼がそうしたことで、ドイツは自らのホロコーストに関わった、決して「命令されたからやった」と主張するナチス残党の戦争犯罪を裁き、私たちはアウシュヴィッツの悲劇を知り、語り継いでいるわけです。
ドイツ国民が自らの罪を認め、進んでこういった裁判をしたのだとおもっていたけど、決してそうではなかったんですね。
それもそのはず、国民の殆どが、悪の凡庸さに埋もれ、それに加担していたという後ろめたさをもっていたのだから。
自分の親に「犯罪者なのか?」ということを改めて突き詰めることなんだから。
でも、突き詰めなくてはならない非道なことが日常的に行われているのが戦争であり、本来であれば、戦争に関わった国全て、戦勝国、敗戦国関わらず、こうすべきだと思う。
それが戦争をすることへの責任。
「戦争だったから仕方なく人を殺しました」と虐殺行為が黙って見過ごされるから、こういった悲劇が終わらないんだと思う。
もし、ドイツの様に、自国で自国民を裁けば、今後、むやみに戦争を起こしたり、市民を巻き添えにするような戦争を起こそうとする人も今よりは減るんじゃないかな。
やっぱり、法で縛らなくちゃいけない、どんな状況であっても、決して超えてはいけないラインがあることを国民一人一人が自覚しなくては、状況は変わらないんだと思う。
これが戦争の責任。
FukiIkeda

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