ブタブタ

残穢 住んではいけない部屋のブタブタのレビュー・感想・評価

4.2
ホラーの短編をオムニバスでやるのではなく一本の映画に纏めると言う形。
『キャビン』はホラーモンスターのアベンジャーズでしたがこれは日本的な怪談(及び幽霊)のアベンジャーズだった(かな?)
久保さん(橋本愛)の部屋の怪現象に始まり、「首吊り女」「河童」「赤ん坊の幽霊」等々何処かで聞いたことのある怪談話しが実は繋がっていたり、原因のそのまた原因だったり。

ホラーと言うより自分としては『帝都物語』の系譜の作品だったなと。
『帝都物語』の「未来宮編」で魔人・加藤保憲を倒す為に三島由紀夫が妖刀・関孫六を持って市ヶ谷駐屯地にいくのですが、この「魔に対抗出来るのは魔の力」と言うくだり。

私(竹内結子)と平岡芳明(佐々木蔵之介)一行が辿り着いた廃屋・真辺家の奥の部屋。
怨霊に対して「神」でもダメ「仏」でもダメ、最後の手段として「魔」で「魔」に対抗しようとした三つ目の間。
壁中咒符だらけ、ガラスケースの中に「河童の木乃伊」「猿の手」やら呪物だらけで手には妖刀を持って怨霊を「呪返し」しようとした真辺幹男のあのシーン、美術デザインが素晴らしくて何度も巻き戻して見てしまいました。
まるで呪いアイテムの美術展みたいで。

やはりホラーとしては余り怖くないのと、ミステリーとしての色合いが強い。

マトモな人達による『コワすぎ』にも見えました。

「魔の間」が呪いや穢れの言わば中継基地
、増幅器になってしまって更に呪いを拡散させてしまった。
「穢れ」とは怪談話しや都市伝説が伝わって行く過程で生まれるモノでホントかウソかは関係ない...集まった「穢れ」が拡散した様に実話系怪談として纏められた話が1冊の本又は一本の映画になってそれ自体が呪いのアイテムと化している、と言う作りは上手いと思いました。
ブタブタ

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