オープニングからタイトルが出る所までで、監督のセンスの高さを伺える。
孤独と言うものが人間にとっていかに絶望的であるか、それを恐ろしいまでに突きつけられる作品。
同じようなSF作品『オデッセイ』も一人火星で孤独に戦う内容だけれど、この『パッセンジャー』は戦う事すらできない、生きる目的からも見放された残酷さがある。
作中二度宇宙遊泳のシーンがあるが、最初と二度目でほぼ同じ構図で描かれているにも関わらず全く意味合いの違う描写になっているのは鳥肌がたつほど素晴らしい。二度、真逆の涙を流すことになるとは。
何度か演出や音楽のバランスが「(笑)?」と感じるような所も有るけれど、それすら意図されたもので、救い様の無い話になってしまいそうな流れの中で作品に奥行きを持たせている。
想像していた内容とは全然違ったけれど、とても素晴らしい映画だった。
演技、演出、音楽、映像、編集などなど、どれも珠玉の出来映え。