ナッツ

ゾンビマックス!怒りのデス・ゾンビのナッツのレビュー・感想・評価

4.0
巷で噂の、ゾンビ・サステナブルの一作目と聞いて鑑賞。
ふざけたような邦題と、汚物は消毒的なオープニングの雰囲気も相まってトホホな怪作やと最初は思ったのですが、意外や意外、めっちゃ面白かったです。

謎のウィルスにより人類の大半がゾンビと化してしまう世界を舞台に、離れ離れになってしまった妹を探すため主人公は仲間を見つけながらゾンビ世界を旅する、的なありがちっちゃありがちな内容なのですが、ゾンビに対する考察や設定の深さが他の凡百存在する作品とは一線を画してました。

ぱっと見、低予算のB級であることに疑う余地はないのですよ。
登場人物も少なけりゃゾンビも少ない。
規模だけ見たらほんまにしょぼいもんです。
突っ込みどころだってめっちゃあります。
パンデミック直後やのにめっちゃ世紀末慣れしてる軍人やマッドサイエンティストたち、そもそもマッドサイエンティストの目的謎すぎ問題とか、ヒロインの導入意味わからなすぎ問題とか、そりゃもういくらでも湧いて出てくるわけです。
人物相関もわかりにくく、この辺は僕の洞察力不足かもですが主人公と妹の関係が途中まで全くわからず、仕事仲間か愛人やと思ってました。
また、重要かと思われた人物が唐突に死んで行くのもB級あるあるかな。

とまあ全体的な完成度としては決して高くはないんです。
ストーリーの詰めが丁寧とは言い難く、映像のクオリティも高いとは言えない。
では何が世界中に存在するゾンビニキたちの琴線にぶっ刺さるかといえば、ゾンビの存在理由に対する説得力に他なりません。

ゾンビの存在理由に対する説得力てなんやねんて話ですが、世界中に蔓延したウィルスでゾンビ化する人間としない人間の設定であったり、走るゾンビと走らないゾンビの区別化であったり、燃料の枯渇していく世界でのゾンビの利用価値であったりと、ゾンビ物を鑑賞中の僕たちの胸中に去来する小さい疑問にちゃんと答えを持って物語化してるってことなんですね。
それらの疑問にこの作品なりに正面から取り組んで一定納得させてくれます。

もちろん科学的根拠があるかといえばないです。
いや、むしろ力技、無理矢理感は多々あります。
でも重要なのはそこじゃなくて、観ている側をいかに心地よく煙に巻くかやと思うんですよね。
ゾンビ、過度なゴア描写、そして力技ながらも妙な説得力、この辺揃ってる映画って実は少ないんじゃないですかね?

そう、設定の巧みさが光る作品なんですが、もちろんゴア描写も力が入っておりそのへんもほんまよーやってくれたと思います。

ゾンビ映画、久しぶりの良作でした。
ナッツ

ナッツ