フリーザ

ヴィジットのフリーザのネタバレレビュー・内容・結末

ヴィジット(2015年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

シャマランによるホラーでありコメディであり家族ドラマでありな珍作。
これはかなり面白い。

ホラーなんだけど笑える。そのバランスがめちゃくちゃ良くて、身内(じゃなかったけど)のお年寄りがボケていて四つん這いで追いかけてくるとか夜中に全裸で徘徊してるとか家の中で吐きまくってるとか「怖いけどだいぶシュールだしちょっと笑える。いやでも笑っちゃ悪いよな、うん」みたいな塩梅で、姉のベッカのリアクションがまさにそれを表してる。

そもそもボケたお年寄りという設定が絶妙で、大抵の事は仕方ないで済ませられるしあまり詮索もできないので、ヤバいけどあと数日我慢しようという状況を受け入れられる。

後半のオカルトやSFへのミスリードはちょっとやり過ぎな気もするけど、トンデモ設定の映画を沢山撮ってきたシャマランだからこそミスリードとしての説得力はあった。
シャマラン必殺のどんでん返しはシンプルかつ上手くキマってて気持ちがいい。
あの異常者2人のバックグラウンドも少し伺える程度なのが良くて変に説明しすぎない感じで丁度いい。

冒頭の車掌やら最初に家に訪ねて来る男やら皆演劇経験者ですぐ演技見せたがるのが面白いし、映画監督志望で真面目な姉と潔癖症でラップにハマっている弟という姉弟2人のキャラも良くてこの辺はシャマランならではのユーモアが効いてる。
まじで結局んとここういうとこだと思うのよ面白い作品かそうでないかって、シャマランってこの辺のセンスが妙に良いというかほかの監督と微妙にズレててそれが個性になってると思う。

ホラーとコメディ要素がこの作品の面白さを牽引しているし見所であるが、「家族内での悲しい別れの記憶と、それにどう向き合うか」というシャマランが繰り返し描いてきたテーマも描かれている。このドラマ部分もやりすぎると変に説教臭くなったりメッセージ性やらテーマが先行したり、それありきの展開や言動が不自然さを目立たせたりするが、これは姉の撮る映画の撮影という名目でそういったドラマパートに必要となる各キャラクターの心情を描けていてその辺も上手く無駄がない。
ラストで演出過剰な劇伴が爆音で流れることやエンディング前の弟のラップ等メタ的な演出も面白い。

ここまで色々詰め込んで94分という短尺に収めてるのもまた良し。
褒めまくってるけどこれはそれ位評価されて良い。

パッケージに書かれてる3つの約束云々はめちゃくちゃどうでもいい。

2018.2.2
2023.10.11
フリーザ

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