脇役として奇跡を起こす役者、亀岡拓次の俳優人生を描く作品。主役の名脇役者、亀岡拓次を演じるのは安田顕さん。
この設定で、今一番填まるのは確かにこの人しかいないだろうな。
展開は役者生活の日常系のようなノリ。
撮影風景のショートコントのような展開やオフタイムの酒盛りは笑いも多く、面白い。
それと少しイン・ザ・ヒーローに通じる部分がある。
主役にはなれない縁の下の力持ち役者が夢を叶えるチャンスを目の前にするという展開はまさにそれ。
なんだけど、そこの要素が映画の進行にブレーキを掛けている形になっている気がした。
何でスペイン監督が登場すると概念的というか、夢のような展開になってしまうのか。
何でリハーサル会場が普通のスタジオや劇場じゃないのか?
あのスペイン監督の映画の内容の意味の分からなさ…。
急に非現実的な演出したのか、理解できない。
名脇役という設定も、
撮影で酒を呑むシーンで本物の酒を飲んで泥酔したり、体調管理が出来ておらず撮影中に嘔吐したのにそれを褒められたり、話が進むにつれ奇跡を起こす脇役という設定の説得力を無くなっていく描写が増えていく。
恋愛要素も、
最初20分まで登場して、回想すらなく音沙汰無かった麻生久美子をラストに再登場させて告白…は何か説得力がない。
だったら、途中のベンちゃんやスナックの歌手の顔が途中から麻生久美子に変わって、彼女を思い出すとか、何かしら思い続けている描写が欲しかった。
名脇役要素、日常要素、自分の夢要素、恋愛要素。
どれかに吹っ切れていたらもっと面白かった気がするけど、個人的には全体的に中途半端で勿体無いと感じた。