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ホース・マネーのsmmt705のレビュー・感想・評価

ホース・マネー(2014年製作の映画)
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ペドロ・コスタ作品の中で最も革命や歴史が織り込んである印象。よりヴェントゥーラの彷徨い方が、広くあらゆる場所になっているのは、あてのなさがより強調されている気がする。赤パン一丁で(帽子は被ってるけど!)フラフラする事は、今まで無かったもんね。ヴィタリナの悲しみはここでも伝わりつつ、『ホース・マネー』は生きているのか死んでしまったのか分からない男たちの物語や、今はなき工場、トンネル付き?の病院や、革命軍の話などなど…、ふんだんに色んな要素が詰め込まれていたのでとてもすぐには消化出来ない。次作の『ヴィタリナ』はよりシンプルで、スッキリしている気さえしちゃう。19歳と3ヶ月のヴェントゥーラは、年老いている事も自覚しつつ、エレベーター内で自らの過去を問い詰められていく所は、手を差し伸べてあげられない閉塞感が辛かったし、同じ場所に留まっているのに、あまりにも内容が複雑。この複雑さを目にして、改めてペドロさんは映画に対して真摯だなと思う。
わたしが一番好きなシーンは、電話をお散歩する部分を含めたぐちゃぐちゃになった工事のシーン。影とヴェントゥーラと、逆光になったヴェントゥーラと、交互に光と影がみえるのは、本当に感動しました。
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