竜平

イーグル・ジャンプの竜平のレビュー・感想・評価

イーグル・ジャンプ(2016年製作の映画)
3.6
イギリス史上初となるスキージャンプのオリンピック代表選手「マイケル・“エディ”・エドワーズ」の半生を描くスポーツコメディ的伝記映画。

言ってしまえば王道な展開、いやしかし、それがいい。単純明快なサクセスストーリーに実話という事実が重なって、なんとも爽やかな感動に包まれる。コメディありホロッとさせる要素ありちょっぴりハラハラドキドキありの、老若男女が楽しめるであろう一本。今作はなんと言っても主人公エディの夢を諦めない姿、これがとにかく印象的。そもそも性格からして本当にファインプレー。基本ポジティブで気持ちの切り替えも早くて、夢に駆ける情熱や行動力も人一倍ある。途中ちょっと調子に乗っちゃうあたりとかも、しっかり人間味に溢れてる。そんな実在の人物をタロン・エガートンが熱演。タロンの若干アゴがしゃくれてる表情、おもしろいなと思って見てたけどこれは実際のエディのそれを真似たもの、ってのは最後まで見たらわかる事実。また今作では役作りで体重もかなり増加させてるということで、ここらへん『キングスマン』の時のシュッとした風貌との落差ね。にしても「根拠はないけど溢れ出る自信」みたいなものには感銘を受けてしまうなと。見守る両親の姿というのも非常に素敵。

時代に合わせているのか、作風から劇中で流れる音楽まで、なんとも懐かしい感じ。一昔前のヒューマンドラマやハートフルコメディ映画を思い出す。あと見てる最中に気づいたけど、今作の舞台となる1988年の冬季オリンピックって『クール・ランニング』で描かれてたのと同じ大会なんだね。劇中で「ジャマイカのボブスレーチームが…」ってのが出てきて、なんか勝手に感動。イギリス国内に於いてはスキージャンプという競技が軽視されてたり、また他国の人にバカにされる姿だったり、当時の時代背景がちょっぴり見えるのも興味深いなと。勝ち負けや優劣も時には重要だけど、それ以上に大事なものが人それぞれの中に確実にある、そんなことを今作を見て再確認できるはず。まぁ人間ドラマとしてめちゃくちゃ深いものが描かれてるかと言われたらそうでもないんだけど、しっかり微笑ましいしほっこりできる良作。どうでもいいけど喧嘩が弱いヒュー・ジャックマン、久しぶりに見た気がする。
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