現代と倫理観が大きく違い、理解しずらい所は多々あるのだが、映像の美しさとリアリティのある少年の行動が良く描けている作品。
1968年という時代もあるのだろうが、ハリウッド的な「子供=天使」ではない所にリアリティがあるし、そこが一番の観所と言えるだろう。
演技のたどたどしさも運よくプラスに働いている。
主役の少年を含めプロの俳優を使っていないのが幸いしたようだ。
冷静にこの少年を分析すれば、里親が言っていたような「優しい」少年ではなく、自我が未発達な子供の処世術が見えてくる。
狙ったのかは不明だが、それをストレートに描いた監督は、先見の明があったと言えるだろう。
ラストも良い子になったような手紙を読んでスパッと終わるのだが、どう考えてもこの少年の未来には暗雲しか見えないのがまた余韻を残している。
時代や子供独特の残酷さを念頭において、その暗いストーリーを味わう作品。見所は元画家でもある監督の映像美だろう。
余談。
昆虫などではなく小動物をやっちゃうのは、昔と言えどもかなり危ない子供。
まして染みついた盗癖はこの後大人になっても治りそうもない。
で、この少年が15歳ぐらいになったところを想像してみると・・・・・
ね、かなり暗い未来が見えるでしょ。
もし、更生するとしたら、優しい里親ではなく、反社会的なことをすると自分に利益が無いと叩き込まれないといけないんだろうなぁ・・・
優しく接して、何しても許しちゃうと、それでOKって学習してしまうんだな、子供って。