浪川リオン

クリーピー 偽りの隣人の浪川リオンのネタバレレビュー・内容・結末

クリーピー 偽りの隣人(2016年製作の映画)
2.2

このレビューはネタバレを含みます

脚本の荒さが目立つと言わざるを得ない。

「○○の状況を描きたいので△△のキャラクターは此処に一人で出向かなければならない」という状況を描写する為の都合として、登場人物が一般的な判断力や真っ当な価値観をかなぐり捨てて行動をしているように思えてしまう。

人物の行動に納得できる理由づけが欲しい。私の勝手なイメージだが、女性は自身に被害を及ぼしそうな危険な人物、場所には近付きたがらないし生理的に受け入れられない男性への拒否反応というのはもっと強いと思う。

高倉の妻はそういった危機意識のようなものがどう見ても希薄だし、仮に何かスリルを求めていたのだとしても、それをわざわざあんな気味の悪い男に求めなければならない理由が何も描写されていない。西野に何か弱みを握られてしまう…という事に描写を避ける余裕は無かったのだろうか。

まともな夫婦ならば、妻は引越し後のファーストコンタクトで隣人の西野に強い嫌悪感を抱き、夫に「引越したばかりだけど私はここに住みたくない」くらいのワガママは言いそうなものだが。
高倉がそれをあれやこれや言いくるめて今の住居に住む事に固執する様も描けていたら、何となく描写されていた主人公高倉の事件の『真実』への執着… 言い換えれば『狂気』ももっと深く描けていたのかもしれない。

等とアレコレ突っ込みを入れたくなってしまうが、見終わるまでは正直退屈しなかった。理屈が伴っていない登場人物の馬鹿な行動、警察官の間抜けさにはイライラしたが香川照之の演じる【西野】という強烈なキャラクターや、地下室の気味の悪い換気扇の軋む音、湿った空気が感じられそうな庭の風景など不穏で不気味な雰囲気は十分感じられ、怖いもの見たさの一点張りで最後まで見る事ができてしまった。

そういった突出した魅力があるだけに、もっと練りに練られた脚本で映画になっていたらと残念に思えてならない。

とにかく香川照之の演技が素晴らし(く気持ち悪)いので役者を目指す方は必見です。あと、イヤな気持ちになりたい人にオススメ。
(そんな人いるのかしらんが)


パンチラ回数:1(ただし、遺体)