亘さん

クリーピー 偽りの隣人の亘さんのネタバレレビュー・内容・結末

クリーピー 偽りの隣人(2016年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

「あの人お父さんじゃありません、全然知らない人です」のこの台詞だけでめちゃくちゃ面白そうだと思ってたけど、原作は未見なので、映画版だと色々と謎が残って悶々とした。

元刑事の犯罪心理学者の高倉、引越した先の隣家には西野と娘の澪が。会話をしようにもまともに受け答えをしない西野に不信感を覚えた頃、未解決事件の日野市一家失踪事件を好奇心から調べる事がきっかけで思いもよらない事に発展していくというお話。

謎の隣人「西野」を香川照之が演じている時点で「あー気持ち悪い」っていうのは分っているんだけど、主人公の高倉を演じる西島秀俊がなかなかの変態。犯罪心理学がたまらなく好きで、冒頭の連続殺人犯を事情聴取するシーンでも「あいつは完全なサイコパスだ。こんなにいいサンプルは滅多にお目にかかれない」と嬉しそうに話す。また大学の講義のシーンでは、アメリカで起こった連続殺人事件を「アメリカならではの豪快な事件」と笑いながら学生に話す。サイコパスと猟奇事件が大好きな時点で中々の変態。この変態行為が講じて事件に巻き込まれていく。
「人間は危険だと分っていても好奇心が勝る」っていうのを聞いた事があるけど、まさに好奇心で関ったがために回りの人間がどんどん死んでいく。自分や妻の身が危険に晒されても西野に対する好奇心が押えられない。はっきり言って傍迷惑な旦那だ。

最初に書いたとおり、原作は未見なので映画だけだと分からないところがあった(見ながら考え事をしていたので内容が抜けているだけかもしれないけど)
1:日野市一家失踪事件で唯一生き残った少女は何故殺されなかったのか。
2:この少女は高倉と野上が失踪現場を見に行った時何故そこにいたのか(事件から6年経過)
3:西野澪が時々別人のような態度になるのは何なのか
4:あの部屋は初めからああいう部屋だったのか
5:西野家の隣の田中家の感じの悪いおばちゃんは、ずっとあそこに住んでるのに何故西野が入れ替わった(顔が違う)のが分らないのか
6:そのくせ高倉には「あいつは鬼よ。心がない」と言ってたのはどういう事?
7:野上は何故多額の借金をしていたのか
8:あの注射何?
9:高倉の妻があの注射を最初に打たれたのがいつなのか
10:野上の単独行動で事件の捜査してもいいものなの?
11:例の注射のお薬はいったいどこから入手してるのか。
など、細かい点を言うと謎が色々とあってみてて「???」となる事が沢山あった。

例の西野家の部屋、玄関だけが普通で通路がいきなり緑色で『ホステル』みたいだし、例の監禁部屋のドアは『悪魔のいけにえ』『SAW』の鋼鉄製の重い引戸っていうのはホラー映画のオマージュなんだろうか。監禁部屋の死体を隠してる床下収納のフタなんか『死霊のはらわた』だったし。
最後の方でワンボックスに乗って全員で西野家から出てドライブをするシーンがいきなり『回路』っぽくなったのも不思議だった。
今回照明がすごい面白いとは聞いてたけど、大学で日野市失踪事件の生き残った少女の証言を撮ってるシーンの照明は確かにドラマチックだった。ただやりすぎて舞台演出みたいだった。前作の『岸部の旅』と同じ人なんだろうけど、前作の方が自然だったと思う。竹内結子のメイクもあの照明に合わせたメイク(目の下と頬のあからさまなシャドウ)で面白かったけど。
ラストは意外にあっけなくて「え?殺しちゃうの?足とか撃って動けなくして研究材料にしようよ」って思った。
あとマックスは可愛いけど大変なバカ犬でした。
亘さん

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