MikiMickle

ライチ☆光クラブのMikiMickleのレビュー・感想・評価

ライチ☆光クラブ(2016年製作の映画)
3.2
1983年に結成された劇団、東京グランギニョルの「ライチ光クラブ」に衝撃をうけた古屋兎丸が、20年以上の時を経てそれを元にして描いた漫画の映画化。

漫画が好きだったので見てきました。
ストーリー的には漫画「ライチ☆光クラブ」に、その前日譚である「ぼくらの光クラブ」(古屋氏のオリジナル)で補足。


螢光町。工場労働者の集まる荒廃としたこの町で、廃墟となった工場跡地に集まる中学生9人。ゼラを帝王とした彼らは、醜い大人になる事を拒み、美を求める。そして、世界に君臨する為に「ライチ」というロボットを作り上げ、美しい少女を誘拐する。
しかし、元のリーダーであったタミヤはゼラの残虐性に疑問を抱く。
一方、その美少女カノンは、ロボットでありながらも人間であるとインプットされたライチと心を通わせるうちに、純粋な愛が芽生え…
多感な中学生の、愛と憎悪と嫉妬と裏切りと死を描いた作品。


まず、メンバーがみんな漫画そっくりだった‼
でも…ダメだ、中学生という設定なのに、思いっきり大人だから、コスプレしている人にしか見れない! コスをディスっている訳では決してありません‼あくまで、それが映画となるとって話。
ドイツ語喋ったりして、厨二病感が半端ない(笑)
漫画だとその厨二病感は全然大丈夫なんだけど。13歳~14歳だし。ゼラのナチスに憧れる狂気を感じるんだけど。
でも、映画だと、どうみても大人だからぁ しかも、満席で一番前で見てしまったものだから、肌のシワとか毛穴の開きとかがw

そしたらもう、皆が声を揃えて言う「ライチ、ラライチ、ララライチ」も藤崎マーケットの真似にしか聞こえなくなってきて…
いろんな笑いが込み上げて仕方ない…

でも、もう、そこは見てみないフリをしよう‼


タミヤとダフとカネダの3人の、昔からの仲のよさ、そしてその後に待つ悲劇、切なかった……
正義感に溢れるタミヤ、かっこいい‼ 演じる野村周平さん、良い演技をしていたと思います。

カノン演じる中条あやみも良い‼可愛らしく芯がある清純派美少女‼

カノンとライチのプラトニックな愛のシーンは、元舞台という事もあってか、照明の使い方とか舞台っぽくて、それはそれでよかったです。

でもだめだ、時々笑っちゃう…
ゼラのせいだっ 役柄的に仕方ないのかもだけど、過剰な演技が、やっぱり…ゼラになりきっているコスプレイヤーだっ(笑)
めっちゃ面白い‼ これ、家で見てたら大爆笑してたと思う(笑)
でも、後半の気持ち悪~くてヘタレな悪役っぷりはよかった‼

ゼラとBL関係にあるジャイボ。美しくも謎と闇のある少年。
なんだけど、もうちょっと若い子を配役したらよかったのになぁ…なんか、ガタイいいし… 「ぼく、声変わりが始まってきたよ、うっすらひげもはえてきたよ…」って、あなたw ビール吹き出すかと思ったよ(笑)

セット、とてもよかった‼ 安っぽくなく、丁寧に作られてました‼ 工場の荒れた感じや、町行く労働者が皆ボロボロの服をきて茶色で統一されていたのも雰囲気を出していて、原作よりも荒廃さが出ていたと思います。
ライチの機械感、重量感もきちんとありました。
タミヤら3人が昔を懐かしむ、海とコンクリートのシーンも、雲にかすんだような太陽の光とともに、友情と愛を感じました… 切ない…

で、グロさもナイス‼ 血ぶっしゃーの、内臓デロンの、おめめぐりん‼ これも、CG及び特殊メイク含め、安っぽさはなかったです‼ グログロ描写、とても良い良い♪

しかし、終わった後に女子トイレやエレベーターで聞こえてきたのは、「キモい‼無理~‼ほとんど見てない‼」との連呼でしたとさ
劇場は女性だらけで、原作ファン、BLファン、俳優ファンといった感じ。
でも、原作はかなりグロいのだけれど、やはり映像となると違うのかもね。
私的には、大満足ですけどね♪

と、B級ホラー好き目線で書いてみました(笑)

映画としては良い。
ストーリーは原作と変わっている部分、カットされた所は結構あるし、ラストも違うけれど、それはそれぞれの消化の仕方だから良いのです。あくまで私は、笑えたし、狂気も感じたし、グロいし、映像ならではの良さも出ていたし、漫画の雰囲気も出ていたと思います。


余談。
東京グランギニョル。1983年に飴屋法水らが主体となって結成された劇団。
耽美と廃退と血と残虐性を求め、カルト的な人気をはくしながらも、たった4作の作品を残し、解散した独自の道をいく劇団。
あとがきを読むと、その雰囲気と、古屋兎丸の彼らへの熱量がひしひしと伝わってきます。
宣伝美術と劇団員に漫画家の丸尾末広がいた事やそのポスターや、調べた写真と内容をみる限り、この映画はその世界観とはちょっと違うのではないかなと… 残虐性はある。ただ、耽美とデカダンが足りないのではないのかなと…
漫画がカルト的人気をはくし、古屋兎丸が付け加えたBL要素から、一人歩きしてしまったような現状。
この映画はあくまでも漫画とその現状を映像化したもの。
元の舞台、見てみたかったなぁ。
MikiMickle

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