ちろる

永い言い訳のちろるのレビュー・感想・評価

永い言い訳(2016年製作の映画)
4.5
普通の人間のちょっぴり見られたくない部分を抉るのがうまい西川監督らしく、妻の死という哀しいテーマなのに、少し滑稽で、きれいごとにしないところがリアリティがあって好きでした。

自分の後ろめたさを隠すように妻に嫌味をい続けるとこや、妻を失うと自分のことが何もできないほどなのに、他人の家庭に一生懸命関わって自分の背負っているはずの十字架を少し軽くしてみたり、、後から色々なことに気がついてそれが手遅れだったり、、
西川監督はとことん男の弱い部分とか、嫌らしい部分をまるで胸のなかをメスで切り分けるかのように描き出すので、男性は観ていて少しソワソワしてしまうかもしれない。

人はみんな完璧に良い人にはなれなくて、小賢しかったり、ズルかったり、残酷だったりすることもあるけど、そんな自分の過去の行為に蓋が出来ないから、なんとなく他で良いことしたりして自分に対して言い訳をしているところがある。だから永い言い訳ってこの映画の幸雄くんだけじゃなくて、みんなにとっての言い訳の物語なのかな。少し自分もドキッとさせられました。

キャスティングかとてもよくて、特にとと姉ちゃんで青葉ちゃん役してた子役の子の演技が自然体のうまさで驚きました。

子供の演出も含めて、今までの西川監督の映画の中でも是枝監督色の強い作品で、役者そのものの素材とか本質をしっかりと活かした脚本なので、勿論好き嫌いが、あると思いますが、個人的にはすごく好きな作品です。
深津絵里さんを、美しく映していた映像が印象的で、特別に泣かせるシーンはないのに随所で涙が出ている自分に気がつきました。
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