浅野公喜

変態殺人犯!!鉄ノ爪野郎の浅野公喜のレビュー・感想・評価

変態殺人犯!!鉄ノ爪野郎(1973年製作の映画)
3.4
かつてトラクターで父を轢き殺し、自身も腕を轢いてしまい鉤爪になった男が殺人を繰り返す凄まじい邦題が目を惹く70sスラッシャー。

精神病院から帰ると母が再婚しておりショックを受け早速再婚相手を殺害、更に誤って母も殺してしまい逃亡劇がスタート。途中拾ってくれた新婚夫婦も殺したはずの母親達に見えて殺害、更に豪邸の主人や使用人も殺し自分のものにして片想いの娼婦を誘い込み拘束する・・というのが大まかな流れで女性を拘束するストーリーは傑作「コレクター」風。

ほぼ固定されたカメラで長回しが目立つ所はハーシェル・ゴードン・ルイス監督作品を思い出す素人臭さもあり残酷描写も今となってはチープ、そして鉤爪を使った殺人が少な過ぎるという意味不明さも有るのですがそこそこ犠牲者数は多くある殺人の時やたらぐるぐる回るカメラワークや大仰なBGMはこの頃のB級映画らしい濃さが有り、サイケ寄りの幻覚に囚われるエンディングは「恐怖の火あぶり」や「マニアック」の先駆けとも言えそう。また、女性に対し奥手故に娼婦の入浴時見張らないといけないのに裸を見ようとしないことで主従関係が逆転する辺りも印象的。

「ファンタズム」シリーズのトールマン役でお馴染みアンガス・スクリムも医師役で登場しており、既におっさんですがその善良そうな姿はぱっと見彼とは分かりませんでした。
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