なんばパークスシネマにて鑑賞。
なんかアホな輩のプロモーション紛いなことで、違うことで話題になった本作。
実際は、すこぶる痛快な大人のためのファンタジー映画の秀作だった。
冒頭数分の某映画のパロディでまずツボ。
しかもナレーションがヘレン・ミレンってアンタ、それだけで某クラークも草葉の陰でニヤニヤしているだろう。
いろんなバービーといろんなケンが暮らすバービーランドはいつも楽しい事ばかり。
だがある日、マーゴット・ロビー・バービーの身に変化が起こる。
口臭するわ、足の裏ツルツルじゃなくなるわ(でも、バービーもケンも股間はツルツル。いや、これ本編でも執拗に触れることなので)。
悩んだ末に、町はずれに住む、変てこバービー(ケイト・マッキノン)に相談に行くマーゴット・ロビー・バービーは、現実の人間の世界にあるマテル社に、直談判して来いという。
かくして、人間社会へ旅立つマーゴット・ロビー・バービー(ええい、面倒くせぇ)だが、彼女を慕っている、ライアン・ゴズリング・ケンも勝手に一緒にくっついてくるのだった。
いわゆる、バービーたちは世の女の子たちに遊ばれているわけで、だからこそ毎日が楽しい事ばかり。
でも、たまに乱暴に扱われた、変てこバービーもいるというわけだ。
で、遊ばれているだけならいいのに、自我に目覚めるバービーもいるというお話。
ここがなんというか、哲学的な設定なのだが、ポップな映像とテンポの良い編集、そしてちょいちょい挟み込まれるギャグに一気にひきこまれる。
自分の姿を卑下するマーゴット・ロビー・バービーに、
「マーゴット・ロビーが言うと説得力がない」
なんてセリフも飛び出してくる。
徹底的に作り込まれたバービーランドの世界と、男性優位な現実社会のギャップ、そしてマーゴット・ロビー・バービーの持ち主の少女と出会ったマーゴット・ロビー・バービー(ほんとに自分何書いてんのかよくわかんない)は、少女の家庭の事情、そして少女とその母が置かれている環境を社会的地位を知る。
一方、バービーの添え物扱いであるケンの立場を顧みて、ライアン・ゴズリング・ケンは男性優位な風潮をバービーランドに持ち込もうとする。
映画は自我に目覚めたバービーとケンによって、バービーランドは崩壊するか否か、という危機が迫ってくるが、その回避の仕方が粋だなぁと。
現代社会が抱える諸問題を、カラフルやポップなビジュアルで包んで、しかしテーマ性を落とすこと無く描ききった。
軽そうでけっこう深いエンターテイメントの秀作だと感じた。
