バービーのゴンのネタバレレビュー・内容・結末

終盤の割と重要なミュージカルシーン、トラブルで1分くらい映像が真っ暗になっちゃった(雷だそう)。致し方なしだが、フラットに評価するのは難しいな。

それがなくても、手放しに大絶賛ではないかも。愛すべき部分がたっっくさんある。でもそれを読み取るのに高度なリテラシーが要求される。

そもそもキャラクターが多いし、ステレオタイプが前提だから深掘りが難しいよね。リアルワールドの絶妙に不可解なリアリティラインも相まって、没入感に欠けた。グロリアが感情を爆発させるシーンも、「この人ってどういう人？」がそこまでに解消されないためあまり心動かず。セリフの強さには泣かされたけど。

そういう構造上仕方ない部分を除けば、やはり舌を巻く出来栄えと思う。ゴッドファーザーを解説したがる男とは付き合いたくない。嫌な人間模様あるあるがユーモアに昇華されてて、苦々しくも笑ったなあ。

戦争がしたいわけではない、でも一矢報いたい。誰でもみんな個であるべきだし、男らしくありたいことも女らしくありたいことも、その逆も否定しない。涙を流し、心を痛めることに生きる喜びが内包されている。そういう難解なメッセージを可能な限りポップで軽やかに伝えようとする作品だと思います。

バービーの映画化なんて試みそのものが愛だし、関わった人には尊敬しかない。グレタガーウィグを愛してる。定番の彼女がリアルワールドで奮闘する続編があるなら、それこそが見たい。頼む、作ってくれ。と思いました。