最初は「何なんだこの駄作は！」と思いかけていたが、実はとても良い。
※意外と物語の展開と言いたい事が分からないぞ！寝てしまったぞ！と言う人へ最後に追記しました。
一番下の ★★★ まで一気に飛んでください。
この映画は色々な難しいテーマをなんと、コミカルにユーモラスにおしゃれにファンタジーに表現してる！パロって笑わせながら考えさせる。そこが良い。
グロリアのセリフがとても良くて深く考えさせられる。女性としての発言だけど、本質はみんなに当てはまると思う。世の中とても難しいさじ加減の中で生きていくことを求められている。
時代の移り変わりと共にいろいろなテーマが取り上げられ、カタカナ表現が増えていくけれど、いつの時代もどの場面でも周りや相手の気持ちを察してあげる事のできる、思いやりこそが普遍的に大切だと結局は思う。
人はそれぞれで、性別も違い、人種も違い、容姿も腕力も健康も能力も表現力も感受性も育ちも違う。平等であるべき事と、すべてを一緒くたに平等にしてはいけないことだってたくさんあると思う。だからこそ思いやりと感謝に気付くべきだと。
これを見て考えたのは周りについ流されたり、他者のことが気になり表面的な事を気にし過ぎて、大切な何かを見失っていないか。自分の内面と向き合って生きるにはどうしたらいいか。
バービーを見て学んだのは如何に固定概念に捕らわれていることに気付き脱却していくか。その勇気とチャレンジ精神を忘れてはいけない事。そうすることで道と心を開放してやる事。再確認は一周して思いやる心を持っているか。
映画を見ていたら頭の中を色即是空（しきそくぜくう）という言葉がよぎった。（クレヨンしんちゃん家の掛け軸ですね。）
昔ベストセラー本になった「チーズはどこへ消えた」も再び思い出した。
※見た後に調べてみました。
バービー役のマーゴットは主演と同時にプロデューサーもしており、マテル社がオリジナルバービーと呼び変えたい意見を断固拒否してステレオタイプバービーとしたそうです。
ちなみにここでのステレオの語源は→ステロ→鉛です。昔は鉛で作った版画のようなもので印刷しており、毎回同じ文字が出来上がるから、”お決まりの”という意味です。悪い意味です。いつものお決まりのバービー。バービーと言えばこうでしょ！
バス停で出会い、美について会話する笑顔が素敵なおばあちゃんは有名な衣装デザイナー。このシーンをカットされようとしたが、グレタ女監督はバービーが美を理解する映画の核心場面だと言って残した。（制作関係者だって大事な事を見落としそうになるんです！）
※不満
冒頭におままごとと言えばお母さんごっこで赤ちゃんを育てる。しかし大人の女性のモデルさん人形の歴史的誕生やいなや、幼い女の子たちが赤ちゃん人形をぶっ壊すシーン。
「2001年宇宙の旅」を知っている人にあの音楽であのスローモーション映像はダメ！
(コーヒーを吹いて汚してしまった。怒)
※注意
本来絶対見ないであろう映画をふと気楽に楽しんでみようとチャレンジした所、予想に反した内容で何度も吹き出しそうな所があり面白かったのだが、フェミニズム（男女平等)、ジェンダー（男女別社会)、その他もたくさんテーマが詰まっていたようだ。
ユダヤ人とか男根という言葉が出てきたり、バービーをイゼベルと呼んだり・・・。
内容が聖書に及んできたり、男根至上主義（ファルス中心主義）とか、宗教、精神分析、哲学と広範囲に奥深くなり、何千年も前からの歴史まで絡んでくると言うならそう簡単に笑って終わらせられない外国人はいるかもしれない。
日本人の私には奥が深すぎるし難しすぎる。さらっと流して見ている場面やセリフも意味があり過ぎる。
また、いろんな映画も目にしていないと笑えなかったり分からなかったりする所もいくつかあったと思う。
未見の人に言っておきますが、ゴッドファーザーは内容がきちんと分かれば誰もが唸るほどの、どの分野においても最高得点を付けれるほどの映画です。
家族や組織のリーダーとしての苦悩も実に上手く描写している。ただ登場人物も多くて確かに難しい所があるんです。
この映画を持ち出す所など上手く的を射ていてとても面白いんです。センスがある。
という事で、
・あまり難しく考えずファッション、音楽、コメディ、世界観、いろんな要素を楽しくポップな感覚で楽しめる！
・言動、行動、背景を深ーく掘り下げて見る事も出来る！
・バービーが現状打破して前に進みだす姿を見て人生のバイブルにする事も出来る！
とてもイケてる映画です！！
★★★
※意外と物語の展開と言いたい事が分からないぞ！寝てしまったぞ！の人へ追記
（ネタバレ注意）
バービーは毎日踊って弾けて夢のような楽しい生活を送っています。
「私はかわいくて女の子みんなに愛されている理想の憧れのキャラなのーー！ヒュゥヒュ～～ゥ！！」「男は脇役よー！」
ところが異変が！あきらかに完璧な今までと違う。やっぱり勘違いじゃない。
経験豊富な変人先輩バービーの所へ相談に行くと言われます。
バービー界は人間界と裏で繋がっていて、あなたのアバター（分身）人形と遊んだ人間の魂が影響を及ぼしているのよ。その子を探し出してどんな遊び方をしたのか分かればきっと解決策が分かるわ。
違う世界に足を踏み入れるのは怖い。きっと私の勘違い。その内に元に戻るわよなどと言う言い訳を断念し、いざ禁断の人間界へ！（ケンが付いてきちゃった）
私と遊んだのはきっとあの子だわ。憧れの私を見たら大喜びで抱き付いてくるわ！ハーイ、私が本物のバービーよー！
ところが奈落の底へ突き落されます。最初だけであとは遊びたくなかった。髪の毛あるのイヤ（赤ちゃん人形と遊びたかった）。あなたが性差別解消運動（フェミニズム）を50年遅らせた。ほかの価値観を破壊してきた。（他にもいろいろ言っていたと思う。）
最後にはあなたはファシスト（理想を押し付けてくる独裁者）だ！とまで言われ泣き崩れます。
バービーはみんなの幸せの為に役立っていると信じていたのに実は真逆だった。自分の思い込み、固定概念。
そのころケンは人間社会は男が偉くて男中心に回っていることを知り、先に帰ってバービー界を男社会に変えてしまいます。
バービーは自分の販売会社に捕まり、男の会長に元に戻すにはどうすればよいか尋ねると、とにかく箱に入って帰れば元に戻ると言われます。
バービーは役員メンバーが全員男なので疑問をぶつけると、女性を大事にしていると言いながら、会話の途中で女性を見下げている本音が分かる言葉がボロボロと無意識に出てきます。
本音と建て前が明らかに違う社会なのです。
この会社は実は女性中心で回ってるんだ、この長い男根のような建物の中で！と言われます。
はるか昔から多くの宗教に男根崇拝がある。結局は男が上だと染み付いているのです。
感情高ぶり、箱に入れイゼベル！とも言われます。恐らくイゼベルとは神が作ったルールブックである聖書の中の物語に出てくるとても邪悪な女で、罰を受け突き落されて犬にかみ殺されて食べられて死にます（確か？）。男根崇拝派らしい。
とにかく失礼極まりない本音が隠れているのです。ちょっとやそっとでは変わらないとても厚い壁がある。日本より格別！
バービーはこの部屋から脱出成功。逃げる途中に創業者女性やデザイナー（共におばあちゃん）と出会い、学びがあります。
本当の美は表面では無い事。
バービーに影響を与えていた少女の母親にも出会い、助けてもらい一緒にバービーランドに戻ります。
さあ大変！ケンがここも男社会に変えている。周りの女性もあっという間に感化されている。
変わり果てた世界に失望し完全にあきらめ動かなくなるバービー。 “私は元に戻るのをとにかく待つわ！誰かが戻してくれるかもしれないし！”
でも母親の言葉が立ち上がらせます。（とても重要で心揺さぶる素敵なセリフが！）
復活したバービーは、男というものがどういう時にご満悦になり調子に乗り、天狗になって周りや自分が見えなくなって隙が出来たり、どんな時に他人と争い始めるのかを知っているので、それを利用し取り返し作戦を実行します。（思い出しても笑えますね。）
奪還成功！男の会長も世界が元に戻ったと喜びかけた時、親子が以前と全く同じに戻すだけではダメだとかましてきます。
バービーも以前の自分と何か違うのを感じています。経験を積んで成長しているのです。
創業者の（幽霊だった！）おばあちゃんがまた出てきてバービーと会話します。
人間の大変さやむずかしさ、醜さ、死が待っている事も説明される。
そして（大事な会話をいっぱーい飛ばしますが、） 最後バービーは他人が作り上げたバービーに戻るのではなく、恐怖を乗り越え困難を覚悟し、自分が選んで決めた自分のバービーになるために、人間界に敢然と立ち向かい入り込んでいくのでした。 （バービー超カッケーー！！）
（超独断と偏見、割愛をお許しください。）
最後のあえて人間界に入っていく所がいまいち分からなかったという若い人には、心理学者が書いた「チーズはどこへ消えた？」という物語のお薦めの本があります。対象12歳以上のわずか60ページほどの薄い小さい本で、世界中で恐ろしく売れている本です。
題名確認で調べたら、今やAppleやＩＢＭ、メルセデスなどトップ企業が次々と社員教育に採用して、あの大谷翔平選手の愛読書にもなったようです。今でも売れてた。
「どんな環境でもいつか必ず未来に変化が訪れる」 その時の教科書です。
はやくバービーのDVD出ないかな。
