このレビューはネタバレを含みます
マジで良い映画。笑って泣ける救いの物語。この映画が世に出ていることに希望を感じる。『哀れなるものたち』と構造は似ているけどこっちの方が好みだった。暴力や支配に帰結せず誰も見捨てない感じ。全員解放される。何者かである必要はない!
人形の体の可動域の特殊さとか、少し動いただけでゴムが擦れて関節から音が軋む感じとか、かつて人形遊びをしたことがある人なら思わず共感する作り込みの細かさに感動。バービーワールドかわいい〜
はじめはお人形らしく機械的だったバービーの言動や仕草が徐々に変わっていって、本質的な人間らしさが顕になっていく様が良かった。
『フォレスト・ガンプ』や『哀れなるものたち』の主人公たちに通ずる愛らしさ。平等な目を持つ異端の存在が学び成長する姿って、どうしてこんなにも目を離せなくなってしまうのだろう。
リアルワールドで自らの特権性に気付き、男性学に飛び付くケン。今まで女性優位の社会で生きてきて、自分の性別にコンプレックスを抱いている彼にとってそれが革命的であることは想像に容易い。アホで抜けててプライド高いけど、泥臭さが隠しきれてない良い奴。バービーワールドもリアルワールドも、不均衡の上に成り立っている。
ハリウッド、アメリカ、面白すぎ。
バービーランドの巧妙なハリボテ感、景気良い歌の演出、派手なカーチェイスに爆笑。ハリウッドのスケール感って最高だ。
キャスティングも絶妙で、マテル社の社長が特権階級の白人男性顔(まさしくトランプとバイデン足して2で割ったみたいな)過ぎて笑った。