きよこ

ノクターナル・アニマルズのきよこのレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
4.2
見終わってぼーっと思い返していた。。。うまく咀嚼できなくてみんなの感想を貪ってしまった( ̄∇ ̄*)ゞ
そして…余韻が凄い。やっと光が差して、すぐに暗転する。苦い味だ。


華麗で異質で粋なオープニング。圧巻!トム・フォード監督に、まさに圧倒的に全身全霊を支配下に置かれた感覚。素晴らしい仕掛けだ。私の映画史上、最高のインパクトだ!そして直ぐ様、誰がこの世界観を共有できるのか?と不安に駆られるほど。


物語は現実と過去、想像の3つの時間軸が変わる変わる展開していく構成。

本を読むときに、誰もが頭の中で物語を独自の感覚で想像し、構築して読みすすめるだろう。それが物語と自分との心地いい距離感だ。

しかし、スーザンはその世界に身を置いて、置きかえ、物語にのめり込んでいく。スーザンの思考や仮想が映像になるんだから、同じモチーフや現実と空想の混乱もあるだろう。ある種、夢の形にも似ている。対比構造も見事だ。あのオープニングと赤いソファーに横たわる美しいラインもその一つ。


作者は多数の伏線をさりげなく見せながら、意図的にミスリードし、映像として魅せていく。その手法は巧みだ。思考のなかの主人公の彼に思いをよせていく。まるで現実かのように。


解釈しだいでは、愛にも憎しみにもなるラスト。私の心は、疑いながらも愚かなスーザンと同じだった。赤い口紅を拭き取るシーンは痺れたし、あの表情と変化は絶妙。


安定のジェイク(#^.^#)好き。。
エイミーのあの瞳はニコール・キッドマンを彷彿させる透明感と強さを兼ね備えた美しさだわ。
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