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ノクターナル・アニマルズのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
4.0
スーザン(エイミー・アダムス)はアートギャラリーのオーナー。夫とともに経済的には恵まれながらも、心は満たされないという日々を送っていた。 
ある週末、20年前に離婚した元夫のエドワード(ジェイク・ギレンホール)から、彼が書いた小説「夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)」が送られてくる。 
彼女に捧げられたその小説は暴力的で衝撃的な内容だった。 
精神的な弱さを軽蔑していた元夫の小説の中に、それまで触れたことのない非凡な才能を読み取り、再会を望むようになるスーザン。 
彼はなぜ小説を送ってきたのか。それはまだ残る愛なのか、それとも復讐なのか――。
オースティン・ライトのサスペンス小説を映画化。
保守的な価値観の母に反発し小説家志望のエドワードと結婚するも、小説家として芽の出る気配が見えないエドワードと別れて金持ちに乗り換えたが、芸術に理解のない夫に不満を持つスーザンのエドワードから送られた自作の小説をきっかけにした葛藤。エドワードの自作の小説に秘められたものが、スーザンに対しての愛なのか、スーザンとはやり直せないという諦めなのか、スーザンに対しての復讐なのかを、スーザンがエドワードの自作の小説を読む中で探っていく心の旅。スーザンのエドワードみたいな芸術家タイプの繊細なタイプに惹かれながら明るい将来性のある未来も欲しいし、生活の保証も欲しいけど自分の仕事アートに対しての理解も欲しいという欲張りな面が、リアル。
エドワードの自作小説を通して描かれる、悔いのない選択をしたと思っても失ったものは取り戻せないしやり直せないというビターな諦念が、オチにもほろ苦い後味を残している。
等身大の女性エイミー・アダムス、繊細な小説家志望で悲しき復讐鬼ジェイク・ギレンホールの演技、スーザンの赤で統一されたオフィスのインテリアなどの映像美が印象的。
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