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ストーンウォールのkazataのレビュー・感想・評価

ストーンウォール(2015年製作の映画)
2.5
いろいろと"壊しまくってきた監督"ことローランド・エメリッヒが真に壊したかったものは……偏見や差別だった!っていうヤツ。

『キル・ユア・ダーリン』でも登場したNYのゲイカルチャーの発信地のクリストファー・ストリートが舞台で、エメリッヒ監督自身のセクシュアリティに基づいて気合を込めて史実を描きたい気持ちは伝わってくるんだけども……如何せん表層的で薄い印象。

公民権運動から連なる黒人の人権運動やベトナム戦争の反戦運動とかウーマンリブ的な運動とかと同時並行的に同性愛の人権運動も盛り上がっていったはずなのに、その辺の時代的背景がほとんど見えないから、現状だと人によっては「単に同性愛者が暴れている」と思われてしまうんじゃないかな。
(抑圧された田舎者青年の一個人の物語に落としこんでしまうのは違うような…)
(ネガティブな意味で「さすがエメリッヒ監督!単純化するのがお得意なことで!!」って感じ…)
(警察とマフィアのズブズブ関係も浅いし…)

そんなこんなで、
"壊し屋"エメリッヒ監督だけども……結果的に今なお存在する性的マイノリティへの偏見や差別を壊すことはできなかったようです。
(思い返すと、最後の最後で結局は"壊れない"というオチをつける監督だったような気もするんで仕方ないことかもしれませんね…)

まぁ「権利は与えられるものではなく、勝ち取るものだ」という西欧的な価値観がよくわかるという意味ではいい映画でした。

(『戦果の馬』のジェレミー・アーヴァインがアメリカの田舎町出身青年役というのもなんだかね…)
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