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TITANE/チタンのkazataのレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
4.5
「まさかの(昨年度)パルムドール受賞!?」ということで意気揚々とウォッチしましたが……(『RAW』同様に)相変わらず変態的で素晴らしくブッ飛んだ映画でした!(ちなみに審査委員長はスパイク・リーだったのね…)

クローネンバーグ監督作っぽいバイオレンス&アート感(…よりは俗っぽい感じ)と、初期オゾン監督やギャスパー・ノエ系の露悪趣味要素(…よりはギリ一般受けしそうな塩梅)と、確かなシーンの積み重ね(=論理的な脚本&編集)で、終始興奮しながら鑑賞できました。

なんだろ……全く感動できない親子愛の物語と言うのか、または再チャレンジ応援映画と言うべきか、もしくは犯した罪からは逃れられない"業と果報"を巡る話と見るべきか、はたまた単なるブッ飛び映画として単純に楽しめばいいべき映画なのか、、、まぁ見る人次第ってとこですかね。
(自分的には因果応報的なブラックコメディに思えました…)


(以下、素晴らしさを語るためにネタバレします↓)


とにかく、最後まで見事にトンデモ設定で突っ走り切った様が天晴れなんだけども……クライマックス前の"消防車の上でのダンスシーン"までの持って行き方が論理的に秀逸に思えて、そのシーンを見ながら爆笑しつつ感動してしまいました!

まず、冒頭の車偏愛少女時代&父親との不仲描写→モーターショーでの「まるで車とセックスしてるみたい!」なダンスシーン→「リアルに車とセックスしちゃうのかよ!」なトンデモ展開(笑)→(中略)→新しい父親との出会い&そのマッチョな父親は過去に息子を失っているがそれを認められない病的キャラゆえの狂気性→マッチョ親父は息子が女装趣味のゲイorトランスジェンダーだったのを受け入れられなかった→「新しい息子とホモソな強い絆を結ぶぜ!」願望→「うるせー!俺が息子だって信じるんだからとにかく俺の息子だ!誰にも邪魔させねーぜ!」→「お前が何者でも構わねー、お前は俺の息子だ!あれ…女みたいなオッパイがあるんだけど……」→って流れがあっての消防車ダンスシーンなわけで、、、実の父親にありのままの自分を認めてもらえなかった主人公は「(新父から)存在を認められてヤッピー」な自己解放ダンスを披露するも、(新父としては)結局「新しい息子=かつての"女々しい"息子と同じ=(実の息子が)なろうとしていた姿」が実現してしまったがために大ショック……という二人の相反する想いが表面化する素晴らしいシーンでした!
(この流れを補足するために"信仰"や"マッチョイズム"や"若さへの執着"なんかが盛り込まれているのも巧い!!)

もちろん、このダンスシーンがあってこそ、後の出産シーン(2度拒絶した息子を3度目に受け入れるシーン)へと続くわけですが、、、もうその時には「一体どんな赤ちゃんが生まれてくるんだよ!?」の方に関心が行ってしまったため、見終わってみたらやっぱり消防車ダンスシーン(までのシーンの積み重ねの素晴らしさ)が一番記憶に残りました。
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