にゃんこむ

オーマイゴッド 〜神への訴状〜のにゃんこむのレビュー・感想・評価

4.5
アンチ宗教な店主が神様を訴えるお話。
荒唐無稽なスタートながら、インド社会の現状や宗教がらみの問題点などを洗い出した傑作です。

○ヒンドゥ教グッズを販売するお店を構えながら、本人は現実主義者でアンチ宗教な店主。息子が宗教のイベントに参加するのも快く思っていませんでした。
ある日、息子が勝手に参加した宗教イベントで、息子の行動を止める為大騒ぎを起した父。その後、自分の店が天災により、倒壊し営業できなくなってしまった。幸い保険に入っていたので、保険申請を行なうが、保険金を支払いたくない保険屋の担当は神の所業なので、保険適応外とのたまう。
困り果てた店主は、それならばと神を訴えるため裁判を起しただったが、店主の前に自分はクリシュナ神であるという謎の男が現れ……。

インドの宗教に疑問を投げかける系コメディなんですが、とっても宗教的で、宗教のあり方を説いてくれる良い映画でした。

というのもこの映画が伝えたいことというのは、
「宗教で金儲けするなよ」
「信者も、言いなりになって金や資源をむだにするなよ」
「神は万物や人の心に宿るものなんだから、偶像ばっかり拝むなよ」
という、至極当たり前なことなんです。
インド映画で宗教モノというとアーミル・カーン主演のPKの方が有名ですが、本作もとっても面白いのでオススメです。

また、謎の男クリシュナ?役のアクシャイ・クマールがカッコイイ!!
『パッドマン』に主演していたときは、そこまでイケメンだとは思いませんでしたが、今作のアクシャイ・クマールは本当に男前!!
インドのピアーズ・ブロズナンと言っても過言では無いくらい。

『ラガーン』のドキュメンタリーを見たときに、インド映画にはタブーが多いといっていましたが、こと宗教に関してはとても自由ですよね。
これが例えば日本で、「お寺は儲け過ぎ、葬式ぼったくりすぎ。神様は日本円なんて使わない!」とか「宗教の考え方の矛盾点を指摘してみた」なんて映画を製作しようもんなら、監督に命の危険が迫ってしまう!
”お互いの領域に踏み込まない”という暗黙の了解のもと、日本には宗教的な平和がありますが、誰かが間違った道に進もうとしているときに、指摘できるような土壌はありません。
宗教信者が多数を占める中、こういう映画を作り、実際にヒットしているということは、インドの人も思うところがあったりするのか、そもそも心が広いのかもなぁーと思いました。
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