よもぎ

22年目の記憶のよもぎのレビュー・感想・評価

22年目の記憶(2014年製作の映画)
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金日成の代役を命じられた売れない役者のソル・ギョングが金日成になりきったまま22年の月日が……っていうあらすじを読んで絶対観ようと決めていた一本。
絶対面白いじゃん!!しかもあのソル・ギョングさんですよ!?と期待していた通り、寧ろそれ以上に面白かった。

愛する息子の為に役にしがみついた役者が権力に蹂躙される内に役に取り憑かれていく姿の痛々しさ虚しさを描いた結構シリアスなストーリーでありながら、時々親子のやり取りでクスッと笑ってしまう場面もあり、最後は22年間の彼の集大成を固唾を飲んで見守ってしまうし泣いてしまう。
しっかりと伏線の張られた良く出来た良い話だし、何よりソル・ギョングの演技の迫力に圧倒されてしまう。

話し方だとか細かな所作。金日成という人物をしっかり知らないのが悔やまれる程丁寧に気を配られた一つ一つの動き「後ろ手に手を組む」、「敬礼に応える手の動き」etc…劇中で何度繰り返しても全くブレないその些細な動作だけでも観ていて鳥肌が立つ。その完璧な「演技」に圧倒される。

その完成度な上に、若い売れない役者と老人を見事に演じ分けていたのにも驚いた。大根役者を演じる名優、って味がある。
前に「悲しき野良犬の輪舞」を観た時も、この格好良いマフィアの兄貴が「殺人者の記憶法」のおじいちゃんと同じ人物だなんて…!とかなり驚いたけども、今回はそれを一つの作品の中でこなしている。
本当に凄い役者なんだな…と恐れ入る程の演技力。凄い迫力。一見の価値あり。

後地味に息子が役者の父に反発しながらも人前で話す事、演じる事を生業としてるのが良いっすわ…本当によく練られている。
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