おどろきの白鳥

22年目の記憶のおどろきの白鳥のレビュー・感想・評価

22年目の記憶(2014年製作の映画)
4.2
1972年の南北共同宣言に伴い、韓国政府は金日成との会談リハーサル用に、役者に金日成の思考をトレスさせた、スパーリングパートナーを作り出そうとした。
男一人で息子を育てていた、売れない役者・ソングンは、そのオーディションとは知らず、金と役を目当てに試験を受けて合格する。
しかし、拷問を伴う過酷なトレーニングで心は壊れ、次第に自分が金日成その人だと思い込むようになり……

というところから始まる、親子再生の物語。
国家の狂気と、それに振り回された男の悲哀。
そして、国家と父親に人生をずたずたにされた息子。

父が息子を「正日」と呼ぶところは、怖く思えばいいのか、笑っていいところなのか、悩みました。

どこにどう転がるのか、全く予想がつかない快作にして怪作。
最後には、涙が…

実に面白かった。