HidekiAndo

20センチュリー・ウーマンのHidekiAndoのレビュー・感想・評価

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)
3.8
“今夜私の誕生日パーティーを開くの
あとて皆で食事に来て
お礼がしたいの”
“世話になったからって
消防士を食事に呼ぶ?”
“呼ぶわ いけない?”

“キレイな音楽は 社会の腐敗を隠す”

“今は1979年 私は55歳
これが息子の好きなもの
この人々
この髪型 この服装
この仕草 この音
1979年 私は55歳
1999年 私は肺ガンで死ぬ”

“ちょっと ジェイミーだけに話すね
セックスする気のない女を 隣で眠らせるなんてダメ
自信が奪われちゃう
それから 早くこの町を出て
サングラス店で働く前に”

“ケンカの原因は?”
“クリトリスの刺激”

“あたたは 外の世界のあの子を見られる
うらやましいわ”

“僕は 母さんがいれば 大丈夫だ”


サンタバーバラ1979年
55歳のドロシア(アネット・ベニング)がどんな女性だったか、そしてどんな時代だったのかを、彼女を取り巻く
・15歳の息子ジェイミー
・ジェイミーの友達ジュリー(エル・ファニング)
店子の
・元ヒッピーのウィリアム
・カメラマンのアビー
を通じて描いた作品。

何気にマイク・ミルズ監督作品は、初鑑賞でした。
日頃はあまり観ないタイプの作品ですが、世代的に彼のグラフィックに親しんできたのもあり、トライしてみました。
燃えるフォード・ギャラクシー、空、室内の色等々、美しい映像のチョイスは流石マイク・ミルズですね。

日本で言えば『肝っ玉母ちゃん』って感じなんでしょうが、さらけ出し方や行動は、やはり『アメリカン』ですね。
79年に55歳でライブハウスとか、子供を理解する為とは言え、日本では考えにくいです😂。
やたら人を招く感じは、自分の家もそうだったのもあり、微笑ましかったです😁。

アメリカの国全体を覆う『どーしましょ』感を、非常に限られた人々の何気ない日常を描く事で、より濃く表現されていました。
カーター大統領の演説に対しての、世代による差は、面白いですね。

トーキングヘッズ、ブラック・フラッグ、アビーとジェイミーが着る“DEVO ”や“Alva” のTシャツも、単に『その時代のモノ』というより、『閉塞された時代から、新しい扉を開けようとしている世代・文化の象徴』として登場させてる気がして、興味深かったです。

軽く調べたら監督本人が1966年生まれ、サンタバーバラ育ちとの事で、ほぼジェイミーと同じでした。
自分の母親やその土地、時代に捧げたような作品なのかな、と思いました。

上に挙げたのは、好きな台詞ですが、良い言い回しが多い作品でした。
翻訳も良かったんだと感じます。

たまには、こーゆー『自分で感じないといけない映画』も、良いモンですね。
HidekiAndo

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