勝手にふるえれろのヨシカやスウィート17モンスターのネイディーン的なこじらせ女子のお話と思ってたけど、このレディ バードは思ったよりも行動型、攻撃型なハイティーン青春ストーリーだった。
自分の田舎がやだ、うるさい親がやだ、好きな事できない貧乏な家がやだ、もう不満だらけで鬱憤たまりまくり、だから何でも言える母親に喚きまくり。
母親も負けず劣らずそんな娘に吠えまくるからきっもママは私のこと嫌いなんだ、憎いんだって思っちゃう。
でも親に吠えまくれることも、喧嘩できることもも、それは本当は相手に深く愛されているという安心感があるから。
多分心の深〜いどこかではそんな事も分かっているだろうに、本当の意味でちゃんと気づけるのはずっと後の事なんだろうね。
中学生の時は何から何まで不満だらけで反抗期真っ只中だった私も私も大学に入って一人暮らしして急に寂しくて実家が恋しくなったあの日の気持ちが一気に蘇ってきた。
うちはクリスティンママとは違って一人暮らししろタイプだったから、どちらかというとクリスティンママの気持ちとあの頃の自分の気持ちが重なったのかもしれない。
自己中心的に物事考えるから、他人が思い通りにならないと怒るクリスティンは痛々しいけど、
イケてる高校生活をしたくて、ステキな初体験をしたくて、色々みんなに一目置かれたくて、ちょっぴり嘘ついたり、突っ走ったり、本当に大切な人をないがしろにするようなしょうもなくてビターな思い出もすべて全部彼女そのものだから、一度ちゃんと全て受け止めてから大人になって、嫌いだったはずのサクラメントの街が美しく見えるのならそれはいいじゃないか！
「つぐない」や「ラブリーボーン」では消え入りそうな透明感オーラを放っていたシアーシャ ローナンが今回はめちゃめちゃ存在感たっぷりに実に(見た目も)逞しく、情緒不安定な"レディ バード"を演じきっています。
映像もテンポも脚本も素晴らしくて、大好きな女優さんでもあったグレタ ガーウィグの類いまれなる才能にも驚かされました。
