みんみん

レディ・バードのみんみんのネタバレレビュー・内容・結末

レディ・バード(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

サクラメントのカトリック系の高校に通うレディバードにはニューヨークの大学に通いたいという思いがあった。サクラメントに生まれ、けして裕福ではない家庭に生まれたことにコンプレックスに感じ自分の部屋にマイバスルームがある大きな家に住むことを夢に見ていた。兄は有名な大学を出たにもかかわらず就職ができず、父は鬱病にかかっている。母は唯一家庭をなんとかするべく精神科医として必死にはたらいていた。
作品中レディバードと母親はギクシャクすることが多い。母は地元のサクラメントにある大学に娘を通わせたい、しかし娘はニューヨークの大学に通いたい。思春期のレディバードにも問題はあるが、母のもっと最高を目指して欲しいという言葉に私は胸の痛みを感じた。母がレディバードに求めるものはレディバードにとっては高く難しいこと。私にとってこれが最高なの、嘘つきでわがままでどうしようもないけど私なのと訴えるレディバードに母は娘がニューヨークに旅立ってしまうまで無視を続けるように。
ニューヨークへ旅立つ時、母親は娘が自分の元から旅立ってしまうことに涙を流す。
またレディーバードはニューヨークに来てはじめてサクラメントが好きだったことに気がつく。
親子の関係は一筋縄ではいかない難しいものだ。自分という存在は母から生み出されたものでこの世に子供を生み出した母は子の人生に責任を感じる。私の子供が誰かに迷惑をかけないように、私の子供が幸せになれるようにといろんな思いがある。しかし、それは子のためでありながら同時に母自身のためのもの。子供の人生までも自分の所有物と錯覚し無自覚に子供の人生をコントロールしようとしたり、子供が幸せになることで自分自身がした教育が間違っていなかったと確信したいのだ。
この世にうまくいく親子関係ばかりではない現実をみると親子であっても適度な距離を取るべきだ。レディバードと母親にとって適切な距離はニューヨークとサクラメントの距離だったんじゃないかと私は考えている。
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