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母よ、のbirichinaのレビュー・感想・評価

母よ、(2015年製作の映画)
2.5
モレッティ監督、いつものシニカルさがないです。
自分が母親を亡くした悲しみに溺れたまま映画を作ってしまったのか。。
母の最期という深刻な話に笑いを加えるために米国人俳優のシーンを組み入れたと思われるが、米国人俳優の描き方が超ステレオタイプで、何だかな~という感じ。

M ブイ演じる女性映画監督がモレッティ自身の姿で、自分が演じる母の介護のために大企業(たぶん)の技師職を辞す女性監督の兄が、そうでありたかった理想像なのか。
女性監督が俳優たちに繰り返し言う「俳優は役を演じるだけでなく、役の横に自分を出さないとダメ」はモレッティの信条なのだろうが、、、
M ブイはいつも少しマヌケな所がある役を演じていて、そういうところが彼女の地なのだろうと感じていた。だから、この"ある程度大物の社会派映画監督"という役にはイマイチはまっていないように思えて、それが気になって楽しめなかった。

ラテン語教師だった(たぶん)母が、ラテン語の勉強に苦労している孫娘(女性監督の娘)に言う「動詞を辞書のいちばん上にある通りに訳してはダメ」という教えは勉強になった。
このエピソードのような母親との温かい思い出をもっと盛り込んで、楽しく見れる映画にしたほうが親孝行だったのでは? でも この作品を撮ることがモレッティ監督の悲しみを和らげたのなら、それはそれでいいか。。
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